戦略人事を取り入れましょう!
戦略人事とは、人事が行う給与業務などのオペレーションではありません。企業の戦略や戦術に合わせた戦略的な人事を行う考え方です。
どういうものか、どのようにして導入すべきかを徹底解説します。
戦略人事とは
戦略人事とは、戦略的人的資源管理(英語 Strategic Human Resources Management)のことです。経営資源の「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」のヒトを最大限活用するマネジメントです。既存に市場から新規市場へサービスを展開し、事業ドメインを拡大する戦略をとる企業があります。そのために、既存の社員を教育し新規事業にシフトし、組織体制の見直しを行います。新しい事業へチャレンジする組織風土の醸成や、報酬制度の見直しなどが必要になります。このように事業の実現のための人事施策を実施することが戦略人事です。従来の人事は、給与や労務管理などの必要な定型のオペレーション業務を行います。どちらかというと就業規則に照らした管理や、前例を重視する傾向があります。先ほどの事例で、事業部門で異動や体制が決まり、その結果を人事が発令をかけたり転勤手続きをしたりするのが従来の人事です。一方、戦略人事とは、事前に異動者リストを作成したり、補充の採用を検討したり、教育体制を整えたり攻めの人事を行います。このように、戦略人事とは、ヒトという資源の側面から積極的に経営に参画し企業の変革をリードしていきます。
経営戦略と戦略人事の関係
経営の4要素である「戦略」「戦術」「戦力」「環境」のうち、戦力と環境を担うのが人事です。いくら良い戦略、戦術を立てても、それを実行する戦力がないと戦略の実現はかないません。さらに、戦力が十分に力を発揮する環境の整備も大事な人事の仕事です。そのためには、人事は積極的に経営を理解しなければなりません。経営を理解するとは、会社の向かっている方向にベクトルを合わせ、次に何が起こるかを考え備えることです。従来、日本において戦略人事が育たない原因は次の3つがあります。1.人事部に戦略を理解するビジネス感覚をもった人材がいない2.経営者が人事部をビジネスパートナーとして認識していない3.人事部ではなく、あたかも労務部として給与計算や社会保険業務に特化しているしかし、実際には戦略も戦術の、誰が、どのように実行するのかが明確でなければなりません。つまり経営とは「ヒトを経営する」ことなのです。経営戦略と戦略人事の関係は、事業を成功させるために切り離せないものです。
戦略人事と人事戦略の違い
人事戦略とは、人事の業務である採用や教育、労務オペレーションをどのように改革するかを策定するものです。たとえば優秀な人材を採用するために採用手法をダイレクトリクルーティングに変更するといったものが人事戦略です。また、業務の効率化のために、給与業務をアウトソーシングさせることも人事戦略です。若手の早期登用を達成するために、役職定年制を導入することも人事戦略です。しかし、人事戦略が失敗しても、直接的には事業目標の達成には影響しません。一方で、新規事業のために電気主任技術者を10名必要であるというのは戦略人事です。この達成は事業に成否に関わってきます。このように戦略人事は、事業目標の達成の成否にかかわります。
戦略人事の立て方
戦略人事は次の6つのステップで実行します。
1.経営ビジョンを理解する
経営ビジョンは経営方針から読み解きます。会社が社会の中でどのような使命をもっているのかを理解します。
2.人材ビジョンの策定
経営ビジョンが達成されたときの社員の状況を策定します。たとえば「食を通じて社会に貢献する」というビジョンがあった場合、そこで働く社員の姿を策定します。「食を創造するために食のプロフェッショナルとして日々努力」とか「社員は仕事と家庭を両立し生き生きを働いている」などです。
3.中長期経営計画を理解する
中長期経営計画からこの数年の企業目標を理解します。その中で「ヒト」資源のニーズを明らかにします。
4.中長期人事計画の策定
人材ビジョンを基本に据えて、中長期経営計画のヒトのニーズを計画します。
5.採用計画と人材育成計画の策定
経営計画のニーズに必要な人材を何人採用するか採用計画を策定します。さらに、2年後に新たな工場を建設するといった計画の場合に、2年以内で工場長を育成したりします。
6.組織人事戦略
組織人事戦略とは、経営方針にそった組織開発です。ヒト資源が経営方針にそったアウトプットを出せるかは、組織開発に影響されます。組織開発とはマネジメントスタイルであり頑張りぬくGRITの醸成です。机上の空論で終わらないためには、組織開発を行い、その後の状況をフォローします。
戦略人事を行うために必要なこと
戦略人事を実行するには3つのコツがあります。
1.現場からの信頼を得ること
経営方針にそって戦略的に人事を発動します。一方、ヒトを扱うので気持ちやモチベーションも大事にしなければなりません。いわば、原理原則とヒトの気持ちという二面の接線上で仕事を行うのが人事です。人事は、現場と密接に協働し、現場からの信頼を得て戦略的な人事を行いましょう。
2.人事の取り組みの整合性
経営計画に沿って組織が新設されました。採用チームや企画チームは、新設組織のメンバーに動機付けし励まします。一方で、労務管理チームは日常のオペレーションとして時間外作業の削減を新設メンバーに出します。このように人事の中で状況が統一されておらず、取組がバラバラだと現場のモチベーションは下がります。人事部の中で、取組の整合性をはかっていきましょう。
3.戦略人事の説明を行う
人事は採用や異動などの強い権限を与えられています。会社の戦略にそって、その人事権を発動します。しかし、すべての社員が経営方針や経営戦略を理解しているかといえばそうではありません。その中で、戦略的な人事権の発動は理解されません。人事は、自らが会社の戦略を説明し、そのために社員がどうあるべきかを説明する義務があります。
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