【事例】職場の人間関係が悪いときの対応

職場の人間関係は、ビジネスパーソンのパフォーマンスに大きく影響します。特に人間関係による職場環境の悪化は、社員の休職や離職につながります。その対応方法は様々ですが、単に個人の問題だけでなく、その背景に注目しなければなりません。人間関係の悪化に対応する方法とフォーカスすべき職場環境について解説します。

職場の人間関係はAさんだけの問題?

Aさんは、職場からは扱いにくい社員だと思われています。気分の浮き沈みが激しくみえ、機嫌が悪いことを敢えて外に表現しているようにみえます。仕事の面では同僚からも一目置かれていて、Aさんがいないと仕事が回りません。そういった事情から周りはなんとかAさんの機嫌を損ねないようにといつも気を遣っています。しかしそれも限界に達したある日、上司がAさんに厳しく注意をしました。するとAさんは上司が思いもしなかったことを訴えたのでした。「私はもう限界。」「怒りの気持ちを持って毎日会社に来ている。」「私しかできない仕事が多くて全部私一人に責任がかかっている。」「電話は誰もとってくれない。」「周りはそんな私を見て見ぬふり。」「補充も入れてくれない。」「しんどくても会社を休めない。」

Aさんから見た職場環境

Aさんが感じている職場環境は次の5項目です。
1.私の業務集中を誰も理解してくれない。
2.誰も協力してくれない。
3.協力できないくらい私しかできない仕事になってしまっている。
4.そういう状況を訴える場がない。
5.小さなフロアで、ちょっとした息抜きもできない。

職場の人間関係は個人ではなく職場環境全体からアプローチする

上司や人事部門は、当該の(周りが言うところの)問題社員だけにフォーカスするのではなく、その社員がおかれている環境からアプローチします。その社員がなぜそういう言動をとるのかを考えます。そうすることで、その社員を単に責めるのではなく、一緒に職場を良くしようという共感の姿勢で臨むことができます。

「良い職場環境」の定義を明確にし共有する

Aさんの事例では、<Aさん>対<同僚社員>いう良くない構図になりました。Aさんにとっても「あなたは職場環境を害している」といきなり上司に言われても、どの言動が良くないのか理解できません。職場環境を作るのは職場全員の協力が必要です。「良い職場環境」とはどういう環境かということを定義します。それを職場で話し合って共有します。私の職場では、以下のように定めました。

会社は、仕事をして成果を出すところ。成果はその人の役割によって異なる。と、いう前提の下で職場でのルールを定めました。
「良い職場環境作りを全員で協力する」
1.仕事に集中すべき時に集中できる環境を全員でつくろう
2.仕事に必要な情報を誰からも得られる環境を全員でつくろう
3.仕事に必要な協力を誰からも得られる環境を全員でつくろう

このルールは、職場員だけでなく、上司、社長が同じフロアで執務される場合は社長とも共有します。「会社とは」という定義が、業種や職務内容によって変わることに留意します。これが守られているかを確認するのは上司の仕事としました。上司は職場観察や、1on1でつぎのように確認します。
1.仕事に集中すべき時に集中できる環境を全員でつくれているか?
2.仕事に必要な情報を誰からも得られる環境を全員でつくれているか?
3.仕事に必要な協力を誰からも得られる環境を全員でつくれているか?

1.職場の人間関係は集中すべき時に集中できる環境つくり

雑談は職場の潤滑油なので「雑談はOK、ただし1回1分を目途にする」というルールをみんなで定めています。雑談が多く終わりなく広がる傾向があったので、「短く雑談しましょう」と定めました。電話をとるルールも必要です。お互いに集中できる環境をつくるのですから、一人の社員だけに集中してはいけません。ルールを決めて電話をとらなくてもよい時間を作ることも有効です。誰もが第一コールをとれるように業務の標準化も必要です。適時休憩をとることも必要です。時間を決めて、ちょっと外の空気を吸う、屋上へ行ってみるなどを全員が公平にできるようにします。

2.職場の人間関係は必要な情報を誰からも得られる環境つくり

仕事に必要な情報は大きく三つあります。
1.経営方針や営業方針、人事方針、社長の考えなど、会社から社員に伝えるべき情報
2.顧客情報や問合せなど、社外に関わる情報
3.システムへの入力方法やイレギュラー対応方法、関数の使い方など業務を進める中でのスキル情報
これらの情報が、必要な人に、必要なタイミング、必要な場所で取得できるようにします。会社での決定事項は、朝礼や議事録で全員に伝わるようにします。顧客情報やスキル情報は、いま必要な情報ですので、チャットツールを使うことが有効です。「この入力方法について誰か教えてください」といったチャットを職場に発信すると「私が知ってます。5分待ってね!」といったやり取りができます。上司は誰も反応していない場合に率先して声掛けします。さらに、そのチャットをWikiに残しておくことも有効です。

3.職場の人間関係は必要な協力を誰からも得られる環境つくり

協力を阻害する要因は二つあります。
1.協力したくても余力がない
2.協力したくない。

1on1を有効に使う

まず上司や職場が「協力が求められている状況」を把握しないとはじまりません。1on1を使うことで事前に把握します。「仕事をする上で、私(上司)や職場から必要としている協力やサポートは何か」ということを明確にするのが1on1の一つの目的です。協力したくても余力がない場合でも放置しません。事前に把握し、協力を得るためにどうすればいいかを検討します。

協力を評価する

協力したくない理由は様々です。まず、評価することから始めます。協力する側の社員にとって、協力へのハードルは状況で高い低いがあります。しかし、ちょっとした協力でも、上司や職場から「ありがとう!」と言ってもらえること。評価の時に覚えてくれていることは大切です。協力を得られる環境つくりは、「協力してよかった」と思える環境つくりです。

 

まとめ

職場の人間関係に端を発し、職場環境がよくないと感じたときの留意点は二つです。
1.問題となる社員だけでなく、その社員がおかれている環境にフォーカスする。共感の気持ちを持って接する。
2.問題が起こらないように、上司や人事部門は日頃から職場環境に気を配る。

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投稿者:

kawamata

ヒューマンリソーステクノロジィ共同代表です。HR領域専門の経営コンサルタントをしています。

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